ものづくり経営研究コンソーシアム

MMRCが中心になって、ものづくり知識の共有や共同研究をするための企業連合を2004年4月に設立。国立大学法人化によって可能になった共同研究契約をベースにした本格的な コンソーシアムで、当初は17社の日本を代表する企業が参加。現在は26社。(2024年7月現在)

毎月の定例会(2024年6月で223回)における講演や発表を通じて、先端的なものづくり知識を、産業・企業を超えて共有する産学連携活動を続ける。 第1期は、各社のものづくり活動を比較可能な形で整理した各社版「ものづくり教本」の作成でスタートし、第2期以降はテーマを絞った分科会(研究会)方式。現在は2つの研究会を開催中。

ものづくり経営研究コンソーシアムの目的

日本の企業との産学連携研究を通じて日本の産業・社会の発展に貢献することを目的としている。主な貢献は三つに分かれる。

① 学術的な貢献

ものづくり企業を中心に、日本でビジネスを行う企業の知見を集約し、それを分析・理論化

ることで経営学分野の学術研究を発展させる。欧米とは異なる産業状況に置かれた日本の企業を題材に扱うことで、欧米中心の経営学を相対化し「学術的にも世界から注目される日本」の地位を取り戻す。学術と企業側がWin-Winとなる社会科学分野の産学連携の在り方を提示する。

② 実務面での貢献

学術の場において、フラットな立場で真剣に議論できる場を用意することで、ネットワーキングの機会を作り「産産」の連携の場を提供する。具体的な事例を分析することで、企業の施策の効果検証、成功・失敗要因の提示を行い、意思決定の材料を提供する。具体的な事例に対して抽象度を上げた理論的解釈を行い、実務家が使える概念・言葉を提示する。

③ 教育面での貢献

コンソーシアムで得られた知見を学生に還元することで、次世代のビジネスを担う人材を育成する。コンソーシアムでの議論を通じて、世代・業種・部門・国を超えた知見を共有し、参加企業の参加者の学びを促進する。コンソーシアムでの議論を研究成果として還元することで、広く世の中に知見を公開する。

コンソーシアム概要

全体会 13:00~

ものづくりの最先端研究者・経営者の講演

(発表タイトル例)
  • IoT/AIと半導体で紐解く今後のものづくりへのインパクト
  • デジタル化と現場力の融合によるモノづくり変革
  • イノベーションの制約は何か?世界のバーチャルエンジニアリング実態と日本の課題改善を促すIoT:事実情報システム
研究会 15:00~17:30

①価値づくり研究会(担当教員:朴 英元)

テーマ:「ものづくりの良い流れづくりと組織能力構築」

価値づくり研究会のテーマは、「ものづくりの良い流れづくりと組織能力構築」です。まず、DX(デジタルトランスフォーメーション)時代にデジタル技術を活用して設計情報を顧客に届けるまでの一連の活動を、いかに連結して利益を生む良い流れ作りをするかという問題に取り組みます。また、上空層のICT、地上層のものづくり、低空層のエッジコンピューティング他の連結といった観点も取り入れつつ、ものづくり組織能力の構築と進化というテーマ設定で議論を深めていくことにいたします。こうした議論を通じて、より価値を生み出すために必要な能力構築のあり方を明らかにしていきたいと思っています。具体的に、以下のようなサブテーマについて議論します。参加各社からの事例報告のほか、研究者や優れた企業の実践者をゲストスピーカーとして招いて報告していただく予定です。

  1. DXを活用した開発・生産・販売の良い流れづくり
  2. 生産・開発現場等の組織能力・競争力を評価し本社と共有する仕組みの構築
  3. 優れた商品企画のための組織連携とソリューションビジネスのあり方
  4. SCMの構築とそのためのITシステム
  5. 設計-生産連携のためのCAD/CAEなどITシステムの活用
  6. 「ものと情報の流れ図」のような生産現場等の能力構築・流れ改善の新しい手法・思想・システムの提案

②組織づくり研究会(担当教員:大木 清弘)

テーマ:「グローバルものづくりを支える組織と戦略」

組織づくり研究会のテーマは「グローバルものづくりを支える組織と戦略」です。この分科会ではグローバル化の潮流を前提に、現場を強くするために必要な組織づくりや人づくりを議論すると同時に、強い現場を活かすための戦略について議論していきます。組織の議論としては組織づくりと人づくりの二つを取り上げていきます。組織づくりとしては、強い現場に不可欠な組織の形について、現場の制度や仕組み、リーダーの在り方、本社の支援のあり方などから議論していきたいと思っています。一方人づくりとしては、組織づくりを前提としたうえで、どのような人(例:オペレーター、技能者、リーダー、管理職、工場長、経営者)に注目するのかを踏まえたうえで、有効な採用・教育・評価の議論を行っていきます。一方、戦略としては、地政学的な変化の中での最適拠点配置、強い現場を活かすビジネスモデルの創出、事業構造の転換などについて議論したいと思っています。組織づくりは戦略を実現するために行われるものであり、そもそもの戦略の議論が必要不可欠です。どのような戦略を取るべきなのかはもちろんのこと、現場から本社の戦略に影響を与える方法についても議論していきたいと思っています。より具体的なトピックは以下の通りです。なお、これまでの参加者の要望から、DXの活用事例があれば、率先して取り上げていきます。

A. 組織(組織づくり・人づくり)

<組織づくり>

  • 国内外拠点の組織変革・マザー工場の在り方・グローバルな情報共有体制(IT含む)
  • 本社の統轄/統制/支援の体制

<人づくり>

  • 国内人材(例:子会社社長/工場長/駐在員/国内技術者/現地マネジャー等)の育成
  • 海外人材(例:現地マネジャー、現地技術者、現地キーマン)の育成
  • DX人材の育成(現場サイエンティスト、ライトブルー人材)
  • 経営人材の育成

B. 戦略

  • 地政学を踏まえたグローバルな拠点配置
  • 強い現場を踏まえた新たなビジネスモデルの創出
  • DXをきっかけにした新たなビジネスの創出

東京大学大学院経済学研究科

経営教育研究センター

〒113-0033東京都文京区本郷7-3-1

MERC
(Management Education and Research Center)

Graduate School of Economics, Faculty of Economics, The University of Tokyo

7-3-1 Hongo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0033

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