「流動化する不動産」

小町利夫

野村不動産株式会社
資産運用事業部 部長代理


報告資料改訂版:pdfファイル (405KB)
 

補足:不動産価値評価法の一例

過日、榊原教授から、物件価格はどのように決定されるのかとのご質問に対して、あのとき説明した内容ではは不十分であると思っております。
従いまして、下記を補足いたしたいと思います。

不動産価値の評価手法として不動産が保有期間中に生み出す収益のみに着目した収益還元法を導入するという前提でありますが、
収益還元率(Capitalization rate : Cap Rate キャップ・レート)と呼ばれる指標があります。
これは初年度の予想キャッシュフローをキャップ・レートで割るだけで現在価値を計算する方法でとても便利な指標です。

このキャップ・レートについては対象不動産物件によって目安となる数値はあります。
その対象が、住居系、オフィスビル、ショッピング・センター等の用途、規模、立地する場所によっても変わります。
一般に、収益還元率の低い順から並べれば住居系、オフィス、ショッピング・センターの順番になります。

先日のオフィスビルの場合では、超一流の大型稼働オフィスビルでは5〜6%、
都心の中規模オフィスビルでは6〜7%が一応の目安といわれております。
(これは、あくまで大雑把な価格の掴み方であります。実際には築年数、契約内容等々、様々な要素を加味して決定されることになります。)

これによれば年間5億円のキャッシュフローのある物件は、Cap Rate=5%とすれば
PV:現在価値
PV=5億円/5%=100億円
ということになります。

以上