東京大学大学院経済学研究科 経営教育研究センターMERC経営教育研究センター
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センター長挨拶
センター長挨拶
 東京大学大学院経済学研究科「ものづくり経営研究センター」(MMRC)の言い出しっぺで、その後のなりゆきで、センター長を自称しております藤本です。本日は当センターのホームページを御閲覧いただき、まことに有り難うございました。御挨拶をかねて、簡単に当センターについて御説明いたします。
統合型ものづくりシステムとは
 本センターでは、「統合型ものづくりシステム」の研究を行っております。「統合型ものづくりシステム」と は、トヨタ生産方式や全社品質管理(TQC)に代表される、一部の戦後日本企 業が構築した生産・開発・購買の仕組みのことで、20世紀後半のわが国が 世界に向けて発信できた貴重な知的資産の一つです。学界においても、この 領域の研究は日本人研究者の業績に対する国際的評価が既に高く、世界規模の研究者ネットワークも充実しています。
東京大学ものづくり経営研究センターセンター長 東京大学 大学院経済研究科 教授 藤本隆宏
東京大学 ものづくり経営研究センター センター長
東京大学 大学院経済学研究科 教授 
藤本隆宏
ところが・・・
 ところが、この分野の学術研究を組織的に行うセンターが、なぜか肝心の日本には存在せず、したがって対外発信力も脆弱でした。その結果、近年における国際研究の停滞、生産性の企業間・産業間格差の根強い残存といった、産学両面の問題を抱えていました。
研究の柱
 こうした現状を変えるべく設立された本センターは、産学連携と国際連携を2大方針として、以下の4テーマを研究の柱とします:(1)「統合型ものづくりシステム」を産業横断的な分析枠組によって形式知化する「一般体系化研究」; (2)競争力分析を充実させるために既存の産業分類を設計思想という観点から見直す「アーキテクチャ研究」;(3)MIT、ハーバード、フランス諸大学などと共同の競争力研究を拡充する「国際比較研究」;(4) 競争力を収益力に結び付ける「ブランド力・販売力研究」。こうしたテーマの研究をすすめるため、経済学研究科の10人の教授・助教授に加えて、特任教員、特任研究員、研究・事務アシスタント、共同研究員などが、チームワークを発揮して「開かれたセンター」を目指します。
プロジェクトの始動
 とくに産学連携を促進するため、東大本郷キャンパスに近い本郷三丁目の角に400平米のオフィスを開設し、常勤の研究ディレクターとして大鹿隆特任教授を三菱総合研究所からスカウトしました。また、2004年4月の段階で、特任助教授、特任助手、特任研究員、研究アシスタント、事務スタッフも強力な陣容が揃い、いよいよ2004年度から本格的な活動に入ります。既にこの時点で、ものづくり経営のプロ経験者であるベテラン数人を特任研究員として当センターで採用しています。この方々には、東大他の若手研究者・学生と研究チームを組んでいただき、彼らの豊富な暗黙知を継承可能な形式知化する仕組みを作る予定です。これに純粋学術的な研究を加え、総ての研究活動を成果対応のプロジェクトベースで行ないます。また、今後は、もの造り経営の実践面・研究面の重鎮クラスの方々若干名に、本センターの顧問就任をお願いする予定にしております。
ものづくり経営研究コンソーシアム
 さらに、2004年4月には、「統合型ものづくりシステム知」の一般体系化を目指す「ものづくり経営研究コンソーシアム」を立ち上げます。これは東大初めてのコンソーシアムとなりますが、日本の代表的なものづくり企業十数社に「第一期生」として御参加いただき、1?2年かけて、まず競作で各社版の「ものづくりマネジメント教本」を作成していただこうと考えています。これらの「各社版教本」の作成と相互閲覧を通じて、「統合型ものづくりシステム」が製品や市場の違いによってどのようなバリエーションを生むのかを明らかにし、日本企業の「ものづくり知の一般体系化」への第一歩とします。そのために、コンソーシアム参加各社からは、コーディネータ的な役割を果たす共同研究員を非常勤でセンターに派遣していただきます。こうした共同研究員の皆様には、東大の若手研究者と連携しつつ、「各社版教本」の作成をバックアップしていただくことになります。またその他、コンソーシアム参加各社の共通の課題に関して、幾つかの「特定テーマ研究会」も立ちあげる予定です。
ものづくり寄席
 一方、教育面を主導する高橋伸夫教授を中心に、既設の特定非営利活動法人であるGBRC(グローバルビジネスリサーチセンター;丸ビル9F)や5年一貫教育として創設した「特修コース」を連動させ、この分野で調査能力・発信能力のある若手研究者を育てます。また東京大学の1〜2年生を対象とした文理融合の「フレッシュマンビジネススクール」というコースを開設します。社会人向けには、丸の内地区において、ものづくり経営に関する学者・実務家のレクチャーを常設で行う「ものづくり寄席」を開設します。他方、経済産業省などとの産官連携にも取り組む計画で、すでにその可能性に関する打診にはいっております。

 MITなど海外の先行事例でも明らかなように、こうした目的の拠点は息の長い研究が必須です。あえて「センター」と名乗ったのは、ここを世界への知的発信の基地として、拠点形成を目的とする「COEプログラム」終了後もこれを継続させようとの不退転の決意の現れです。

 とはいえ、正直言って、これらの試みのすべてが新しく、まさに試行錯誤です。こんなに盛り沢山のことを、本当に出来るのか、ちょっと心配でもありますが、乗りかかった船です。幸い、周囲には、こういう試みを面白がって、助けてやろうかと来てくれる人の輪ができつつあります。これほど有り難いことはありません。

 本センターは、文科省21世紀COEプログラムとしては2008年3月に終了しますが、その後も東京大学として活動を継続していきます。

 皆様の知的・人情的な御支援が、本センターの最大のエネルギー源です。よろしく御支援・御鞭撻をお願いいたします。

2008.04.01