東京大学大学院経済学研究科 経営教育研究センター
経営教育研究センター 東大アウトリーチ企画:MERC丸の内院生ラウンジ
東大アウトリーチ企画:MERC丸の内院生ラウンジ
経営学研究最前線
若手研究者が中心となり、経営学に関するトピックを取り上げて紹介したうえで、関連するテーマについて、受講者同士でグループディスカッションを行っていただきます。
丸の内の地縁を活かして、受講者が職場で抱える課題に関して、新たな知見を周囲の受講者からも得られるかもしれません。
経営学研究最前線:これからの講演
2017年10月5日(木) 19:00〜20:30

第1回: 中小企業が海外ビジネスを成功させるためには

浜松翔平(成蹊大学経済学部・助教)

概要:
近年では、大企業のみならず中小企業も海外ビジネスと関わりを持つことが当たり前の時代となっています。しかし、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源に限りがある中小企業が海外ビジネスを成功させるためには何が必要なのでしょうか。
経営戦略論の大家の一人ともいわれるカリフォルニア大学ロサンゼルス校教授のリチャード・ルメルトはその著書『良い戦略、悪い戦略』で良い戦略とは「必要なのは目前の状況に潜む一つか二つの決定的な要素、すなわち、こちらの打つ手の効果が一気に高まるようなポイントをみきわめ、そこに狙いを絞り、手持ちのリソースと行動を集中すること、これに尽きる。」といっています。
経営資源の限りのある中小企業が海外ビジネスをする上で、この指摘は特に重要だと思われます。海外ビジネスにおいて、限りある経営資源をどこに集中させ、そしてどのようなマネジメントを実施すればいいのかを検討することが求められるのです。
本講義では、中小企業の国際ビジネスに関する実態調査をもとに、これまでの明らかになった研究成果を交えて、「中小企業が海外ビジネスを成功させるためには」について考えていきます。

 
略歴:
2008年4月〜2010年3月 東京大学大学院 経済学研究科 経営専攻 修士課程
2010年4月〜2013年9月 東京大学大学院 経済学研究科 経営専攻 博士課程
2014年4月〜2015年3月 東京大学大学院 経済学研究科 ものづくり経営研究センター 特任助教
2015年4月〜現在 現職


2017年10月12日(木) 19:00〜20:30

第2回:自社の競争領域を活かすために―IoT時代を見据えた事業戦略―

糸久正人(法政大学社会学部/同大学院公共政策研究科・准教授)

概要:
IoT化によるつながる世界の拡大を背景として、近年はより一層、「ビジネス・エコシステム型競争環境」への適応が求められるようになりました。そこでは、すべてを自社でカバーするのではなく、1)自社の競争領域を明確にし、2)そうした競争領域を活かすための仕組づくりが重要となります。
本講演では上記のような枠組の中で、とくに2)のオープン戦略としての標準(standard)の役割に注目し、その基本的な特徴を概観したうえで、具体的な事例をもとに、日本企業がとるべき事業戦略について考えていきたいと思います。例えば、現在の自動車メーカーの競争領域は、クルマそのもの、あるいは燃費の良いエンジンに還元することができるでしょう。しかし、Vehicle IoTによる完全自動運転社会が到来した場合、依然としてクルマそのものが競争領域になるのでしょうか?あるいは、自社の競争領域をクルマそのものや自動運転システムなどに決めた場合、そうした競争領域を活かすためにはどうしたらよいのでしょうか?ビジネス・エコシステム、標準、オープン&クローズ戦略といった概念をキーワードにして、参加者とともに読み解いていきたいと思います。

 
略歴:
東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程を単位取得退学後、東京大学ものづくり経営研究センター特任助教を経て、2013年から法政大学社会学部に赴任。「社会における技術とイノベーション」という観点から、自動車産業および中小企業を対象に標準化戦略について研究している。主な社会活動として、現在は公益社団法人ネットワーク多摩・常務理事、東京大学生産技術研究所・リサーチフェロー、自動車問題研究会・幹事などを兼務。その他、国土交通省、経済産業省、特許庁などの委員を歴任している。

主要業績:
Itohisa, M. (2017) "Openning patents related FCV by Toyota: Open Strategy for making a business ecosystem," and "Competitive areas of companies in automated driving: Open policies on car driving data," English-Language IP Training Program Development, Japan Patent Office.
Oleijniczak, T. and Itohisa, M. (2017) “Hybridization revisited: New insights from the Evolutionary Approach,” Journal of Management and Business Administration, vol.25, No.2.
糸久正人(2016)「複雑性の増大とコンセンサス標準:標準化活動がもたらす競争優位」『研究技術計画』第31巻1号, pp. 22-30.
富田純一・糸久正人(2015)『コア・テキスト生産管理』新世社
糸久正人(2012)「標準化に対するユーザーとサプライヤーのコンセンサス:コンフリクトを克服した互恵性の達成」『研究技術計画 』第27巻1/2号, pp. 463-476.


2017年10月19日(木) 19:00〜20:30

第3回:「いじる自由」とイノベーション―オープンソースと経営学の最前線

八田真行(駿河台大学経済経営学部・准教授)

概要:
ここ10年ほどで、GNU/Linuxを始めとする成果物の普及に加え、ソフトウェアやコンテンツ開発の方法論としても、オープンソースは完全に市民権を得た感があります。その一方で、ソフトウェアの社会的な影響力が飛躍的に増したにも関わらず、開発や運用に際して十分な規制が行われていないという意見もあれば、デジタル権利管理(DRM)の普及や回避技術(circumvention technologies)の規制など、DIY精神に基づくオープンソース、あるいはオープン・イノベーションそのものが拠って立つ基盤が徐々に掘り崩されてきているという指摘もあります。そこで本講義では、(1)いじる自由(Freedom To Tinker)、(2)アルゴリズムの説明責任、(3)コミュニティ・ビルディングという3つのテーマに関して、最新の学術的知見をご紹介します。

 
略歴:
東京大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科博士課程を単位取得退学後、財団法人知的財産研究所特別研究員を経て、2011年より駿河台大学経済学部に赴任。国際大学グローバルコミュニケーションセンター(GLOCOM)客員研究員。フリーソフトウェア/オープンソース(FLOSS)に関するコラムの執筆も行っている。

2017年10月26日(木) 19:00〜20:30

第4回:プラットフォーム企業のグローバル戦略 -- オープン標準の戦略的活用とビジネス・エコシステム

立本博文(筑波大学ビジネスサイエンス系・准教授)

概要:
2017年3月に上市した『プラットフォーム企業のグローバル戦略 --
オープン標準の戦略的活用とビジネス・エコシステム』(有斐閣)を題材に、以下の内容について紹介を行う。さらに、ページ数の関係から書籍に盛り込めなかった内容(IoTエコシステムやビックデータ/人工知能(機械学習)による第4次産業革命)について簡単に紹介を行う。

(書籍の内容から)
・ビジネスエコシステム
・ネットワーク効果と補完財
・オープン標準の種類(デファクト、デジュリ、コンセンサス)
・プラットフォーム戦略の3要素(戦略的標準化(ネットワーク効果の設計)、二面市場戦略、バンドリング戦略)
・グローバリゼーションとプラットフォーム企業
(ページ数の関係から書籍に盛り込めなかった内容)
・新しいフロンティアとしての第4次産業革命
・IoTエコシステムの3要素
・人工知能(機械学習)の典型的シナリオ
・産業IoTのエコシステム概観

略歴
1998年 東京大学経済学部卒
2002年 東京大学大学院経済学研究科(博士課程退学)
2002年 東京大学先端科学技術研究センター助手
2004年 東京大学経済学部ものづくり経営研究センター助教
2009年 兵庫県立大学経営学部准教授
2010年 MIT客員研究員(Sloan school of management)
2012年 筑波大学ビジネスサイエンス系准教授
2016年より現職



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